【上質/高付加価値コンテンツ】宮大工ツーリズムの構築

株式会社ルート・アンド・パートナーズグループでは、2021年度文化庁「上質な観光サービスを求める旅行者の訪日等の促進に向けた文化資源の高付加価値化促進事業」の採択を寺社建築の会社と連携して獲得し、宮大工ツーリズムと名付けた上質で高付加価値なコンテンツ創造に取り組んだ。
神社仏閣では保有する文化財修繕費の確保に苦しんでおり、また宮大工の数の減少などもあいまって、非常に重要な日本文化継承にタイムリミットが迫っている。しかし、宮大工の技はユネスコ無形文化財に認定されるほど高いものである。釘や金物を殆ど使わずに建物の骨組みを作る伝統的な技術を継承する宮大工は、大きな歴史的・文化的価値を持ち、世界に誇れる職業である。そんな宮大工の技術と、宮大工と同じく長い歴史を持つ温泉旅館を活用する文化資源と規定し、Miyadaiku Tourism -Origin of Carbon Neutral-の価値を国内外の富裕層などに提供する仕組みをつくれば、文化財修繕財源確保や宮大工育成財源確保につながるというのが、本コンテンツの背景や狙いである。どれだけ時代が進んでも、この普遍的な歴史は変わることがなく、最もサステナブルな企業として今もなお現存している宮大工と温泉の2つにスポットを当て、さらにその価値を高めるような旅の構築を目指した。

サステナブルツーリズムの代名詞となりうる歴史的な要素を戦略的に随所に活かし、その組み合わせが最も高付加価値なトラベルのひとつというムーブメントを創り上げることを目指し、寺社仏閣、旅行者(寄付者)、宮大工のトライアングルを継続循環させる宮大工ツーリズムの構築で、競合となる各国に向かう足を日本にとどめさせる上質で高付加価値な旅行のプロトタイプを創り上げた。

神奈川県湯河原町で実施したモニターツアー(ファムトリップ)は、まず、スウェーデン人茶師であるブレケルオスカル氏によるウェルカムドリンクとして湯河原茶(足柄茶)を使ったグリーンティーのテイスティングから始まる。ここで、宮大工と日本茶のストーリーを確認し、続いて先祖代々湯河原で生まれ育った元東海大学教授の杉本先生による建築の講義に耳を傾ける。2その後、参拝のマナーを学んで五所神社に正式参拝する。


そこから宮大工によるレクチャー・実演に移る。そこでは、本殿裏側に回るバックヤードツアーで、現役宮大工が実際に木組みをするところを見学したり、宮大工目線での神社の建築構造についての解説などを受けたりすることができる。



次に、「Essence of 宮大工」と題した、雅楽の大づつみの音の中でカンナ、ノミなど技を披露する演出が行われる。大づつみも宮大工も日本最古の文化の一つであり、どちらも細工やごまかしのきかないもの。それぞれの伝統を守るため、古くからある文化が今ここで融合する。その後、宮大工弟子入り体験として、実際に参加者が手を動かし、道具を使って宮大工体験を行う。実際に宮大工のハチマキやはんてんを身に着けて作業をし、最後には弟子入りの証明書の授与や記念撮影なども行われる。

終了後は、宮大工の技術が活かされた木造の温泉旅館で、有形文化財に指定されている上野屋、伊藤屋、藤田屋に宿泊する。ここでも、宮大工と旅館や文化財との関連性や、使用されている木の説明、隠し仕事や当時の大工を想いながらの解説に耳を傾けながら、古き良き木造建築を味わい、特別な和食も十分に堪能する。

今回の企画のように、宮大工の技を“魅せる”ことは、宮大工にとっても初めての挑戦となる。宮大工は、一流の職人であり、孤独な専門家でもある。その技術は、その繊細さ・専門性ゆえに長らく多くの人の目に触れる機会は多くなかった。ユネスコ無形文化遺産に登録され、カーボンニュートラル建築で世界中から日本の木造建築技術が注目されてもなお、宮大工の世界は外に開かれにくく、後継者問題に苦しむ声も挙がっている現実がある。宮大工職人は「パフォーマー」ではないが、そのぶんありのままの姿、生の現場をこのツーリズムで体験できる。本物、「道」を追求する職人の神髄の美しさと感動に触れる瞬間になるかもしれない。観光用に作り上げたパフォーマーとの違い、歴史とパワーに根付いた宮大工の魅力を感じてもらうこと、その中で旅行者のココロに何か新しい変化が生まれることを狙い、本コンテンツを造成した。

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